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自主調査

■2013年3月5日 1都3県在住者の東日本大震災時の行動とふりかえり


ネットエイジア株式会社/株式会社第一生命経済研究所  共同調査リリース
1都3県在住者の東日本大震災時の行動とふりかえり
〜震災直後、首都圏外への避難を望んでいた 4人に1人〜
 モバイルリサーチを展開するネットエイジア株式会社(本社/東京都中央区、代表取締役:三清 慎一郎、以下ネットエイジア)と株式会社第一生命経済研究所は、「1都3県在住者の東日本大震災時の行動とふりかえり」に関する調査をモバイルリサーチ(携帯電話によるインターネットリサーチ)により実施し、20歳〜49歳の男女で1都3県に在住する携帯電話ユーザー1,200名の回答を集計いたしました。 今後もネットエイジアでは、世の中の関心が高いテーマの調査、今後のトレンドを占える調査など、マーケティングシーンで役立つさまざまな情報をモバイルリサーチによりタイムリーに提供してまいります。


ネットエイジアリサーチ調査結果>

◆ 25世帯に1世帯が震災直後に首都圏外へ脱出
◆ 震災直後、首都圏外への避難を望んでいた 4人に1人
 震災直後の居住地選択について尋ねたところ、「家族全員で、一時的に首都圏外に避難した」とする割合は全体で1.8%、「一部の家族のみ、首都圏外に避難した」とする割合が2.2%となり、あわせて4.0%が首都圏を脱出したことがわかった。おおよそ、1都3県の25世帯に1世帯の割合で避難を実施したと考えられる。年代別では、特に20代で脱出した人が多く(5.5%)、子どもの有無別では圧倒的に「小学生以下の子どもがいる」とする人で多い(8.2%)。
 震災時に首都圏に住んでいた人に対し、震災直後の居住地対応として、どのような希望を持っていたかについて尋ねたところ、16.7%が「家族全員で、一時的に首都圏外に避難したいと感じた」と回答し、7.9%が「一部の家族のみ、首都圏外に避難させたいと感じた」と回答するなど、24.7%と約4人に1人は首都圏外への避難を望んでいたことがわかった。
 希望通りに首都圏外に避難できなかった人に対し、その理由について尋ねたところ、「自分の仕事の都合(休めない、辞められない)」(51.1%)、「家族の仕事の都合(休めない、辞められない)」(41.4%)が上位を占めた。これに「お金がかかるから」(36.5%)が続いた。震災後の避難に対する行動は、誰が決定したのかについてみたところ、「自分」と回答したのは男性で68.1%、女性で52.3%となっており、女性の回答における「配偶者」の占める割合も男性より多かった。震災後の居住地に関する決定は、女性より男性で行われたケースが多かったことがうかがえた。

◆震災直後の居住地対応
 (単一回答形式)

震災直後の居住地対応:単一回答形式

◆震災直後の居住地としての希望
 (単一回答形式)
 ※対象:震災時に首都圏在住だった人

震災直後の居住地としての希望:単一回答形式 対象:震災時に首都圏在住だった人

◆震災時の居住地対応が希望通りにいかなかった理由
 (複数回答形式)
 ※対象:希望通りに首都圏外に避難できなかった人

震災時の居住地対応が希望通りにいかなかった理由:複数回答形式 対象:希望通りに首都圏外に避難できなかった人

◆居住地対応の行動決定
 (単一回答形式)
 ※対象:希望通りに首都圏外に避難できなかった人

居住地対応の行動決定:単一回答形式 対象:希望通りに首都圏外に避難できなかった人


◆ 震災後の食に対する行動決定では女性が主導的
 続いて食についてみる。「安全だと思われる産地のものを購入している」との設問に対し、「東日本大震災以前から積極的に行い、現在も行っている」としたのは、25.0%だった。特に男性より女性、年代別では40代、子どもの有無別では中学生以上の子どものみいる人で高い。中国産の野菜の問題等、震災以前から食については産地の問題が発生していたことなども受けてか、以前から気を配っていた人は4人に1人程度となった。「東日本大震災後に積極的に行い、現在も行っている」とする割合は12.8%、「東日本大震災後しばらくは積極的に行ったが、今はあまり行っていない」とする割合は14.3%で、いずれも男性より女性が多くなっていた。年代別では、20代の回答が他より低かった。子どもの有無別にみると、小学生以下の子どもがいる人では「東日本大震災後に積極的に行い、現在も行っている」が多く、中学生以上の子どものみいる人では「東日本大震災後しばらくは積極的に行ったが、今はあまり行っていない」が多かった。子どもが小さい分、リスクに対して慎重になる様子がうかがえる。ただし、これらの差は「自分の食生活について把握していない・わからない」を含んだ回答結果に基づいており、例えば男性では17.8%の人が自分の食生活について把握していないとするなど、そもそも関心がない様子も表面化した結果となっている。
 続いて、「特定の食品・特定の産地のものを食べないようにしている」についてもみたところ、積極的に安全な産地を選ぶとした前述の回答に比べ、全体的に「行っている」とする人が少なかった。それでも、小学生以下の子どもがいる人では「東日本大震災以前から積極的に行い、現在も行っている」「東日本震災後に積極的に行い、現在も行っている」「東日本大震災後しばらくは積極的に行ったが、今はあまり行っていない」を合わせた数値が45.6%と他より多く、現在も行っているとする人も他より多い。特に震災後に行っている人が多いことから、放射性物質による食品への影響に対する危機感が垣間見える。  
 震災後の食に関する行動決定は、男性より女性で行われたケースが多かった。居住地に関する行動決定が主に男性で行われたのと対照的な結果である。

◆安全だと思われる産地のものを購入している
 (単一回答形式)

安全だと思われる産地のものを購入している:単一回答形式

◆特定の食品・特定の産地のものを食べないようにしている
 (単一回答形式)

特定の食品・特定の産地のものを食べないようにしている:単一回答形式

◆食品への対応についての行動を決定した人
 (単一回答形式)

食品への対応についての行動を決定した人:単一回答形式


◆ 放射性物質の食品への影響 震災後の半年間では過半数に危機感
 食品(農産物・魚介類等)、水道水、空中の放射性物質への意識、さらに福島第一原発と放射性物質の健康への影響について、震災発生から震災後半年くらいまでと、現在において、それぞれどのようにとらえていたのかについて尋ねた。
 まず、食品についてみると、震災発生から震災後半年くらいまでは「大丈夫だと考えていなかった」が27.0%、「どちらかといえば大丈夫ではないと考えていた」が24.7%で、過半数が大丈夫だとは考えていなかった。特に年代が高いほど危機感が強く、また小学生以下の子どもがいる人で危機感が高かった。現在では「大丈夫」と感じている(「大丈夫だと考えている」と「どちらかといえば大丈夫だと考えている」の合計、以下同じ)のは61.5%となっている。震災直後と同様に女性より男性で「大丈夫」とする割合が高い。小学生以下の子どもがいる人で「大丈夫」と考えている人は53.4%と、全体平均よりも低いことも確認された。

◆放射性物質の食品(農産物・魚介類等)への影響について
 【震災発生から震災後半年くらいの意識】
 (単一回答形式)

放射性物質の食品(農産物・魚介類等)への影響について【震災発生から震災後半年くらいの意識】:単一回答形式

◆放射性物質の食品(農産物・魚介類等)への影響について
 【現在の意識】
 (単一回答形式)

放射性物質の食品(農産物・魚介類等)への影響について【現在の意識】:単一回答形式


◆ 放射性物質の水道水への影響 震災後の半年間では半数弱に危機感
 水道水について、震災発生から震災後半年くらいまでの間に「大丈夫」と捉えていた人は47.1%で、ここでも男性より女性で、また年代が高いほど、さらに小学生以下の子どもがいる人で危機感が高い様子が明らかとなった。現在は65.8%が「大丈夫」と考えているが、食品と同様に年代が高い人や小学生以下の子どもがいる人では、現在も危機感がある人も少なくない。

◆水道水に含まれる放射性物質について
 【震災発生から震災後半年くらいの意識】
 (単一回答形式)

水道水に含まれる放射性物質について【震災発生から震災後半年くらいの意識】:単一回答形式

◆水道水に含まれる放射性物質について
 【現在の意識】
 (単一回答形式)

水道水に含まれる放射性物質について【現在の意識】:単一回答形式


◆ 現在は約6割が空中の放射性物質に危機感なし
 空中の放射性物質について、震災発生から震災後半年くらいまでの間に「大丈夫」と捉えていた割合は42.0%で、やはり年代が高い人や小学生以下の子どもがいる人で危機感が高かった。現在では約6割が「大丈夫」としている。

◆空中の放射性物質について
 【震災発生から震災後半年くらいの意識】
 (単一回答形式)

空中の放射性物質について【震災発生から震災後半年くらいの意識】:単一回答形式

◆空中の放射性物質について
 【現在の意識】
 (単一回答形式)

空中の放射性物質について【現在の意識】:単一回答形式


◆ 現在も8割以上が福島第一原子力発電所に危機感
 福島第一原子力発電所については、震災発生から震災後半年くらいまでの間について、69.3%が「大丈夫だとは考えていなかった」という強い危機感を示していた。これに「どちらかといえば大丈夫ではないと考えていた」を加えると、87.8%が危機感を持ったことになる。特に女性では9割が危機感を感じていた。現在についてみると、「大丈夫」と考えているのは16.1%にとどまり、8割以上が現在も危機感を持っていることがわかる。

◆福島第一原子力発電所の状況について
 【震災発生から震災後半年くらいの意識】
 (単一回答形式)

福島第一原子力発電所の状況について【震災発生から震災後半年くらいの意識】:単一回答形式

◆福島第一原子力発電所の状況について
 【現在の意識】
 (単一回答形式)

福島第一原子力発電所の状況について【現在の意識】:単一回答形式


◆ 放射性物質が健康に及ぼす影響 震災後半年間では7割以上に危機感
 最後に、放射性物質が健康に及ぼす影響についての意識を尋ねた。震災発生から震災後半年くらいまでの間に7割以上が「大丈夫ではない」(「大丈夫だとは考えていなかった」と「どちらかといえば大丈夫ではないと考えていた」の合計)と考え、危機感を持っていたことが明らかとなった。特に小学生以下の子どもがいる人では8割以上が危機感を持った様子が確認されており、その不安感の強さがうかがえる。男性や20代、子どもがいない人では、他と比べて「大丈夫だと考えていた」とする割合が高い。現在の意識についてみると、「大丈夫」とする割合は30.8%にとどまっており、年代が高い人や小学生以下の子どもがいる人を中心に、今も危機感があることがうかがえた。

◆放射性物質が健康に及ぼす影響について
 【震災発生から震災後半年くらいの意識】
 (単一回答形式)

放射性物質が健康に及ぼす影響について【震災発生から震災後半年くらいの意識】:単一回答形式

◆放射性物質が健康に及ぼす影響について
 【現在の意識】
 (単一回答形式)

放射性物質が健康に及ぼす影響について【現在の意識】:単一回答形式


◆ 震災直後は極限の不安感 女性は27.7%で男性の約2倍に
 これらの不安を全般的にみると、不安感は時とともにだんだんと低下しており、特に震災から1ヶ月から半年の間にかなり不安が軽減された様子がわかる。特に女性では震災直後に「極限に不安感が強かった」と回答した人が27.7%と、男性の約2倍を占めたことがわかる。

◆震災に対する不安感の移り変わり
 (単一回答形式)

震災に対する不安感の移り変わり:単一回答形式

震災に対する不安感(震災発生直後)

震災に対する不安感(現在)

◆ 情報行動のふりかえり 「予備のバッテリーや電力の準備不足」を3割強が反省
 最後に、情報関連行動の面での実態と反省についてみる。まず、これまでも行っていた情報行動として目立つのが、「マスメディアだけでなく、ネットなどを使って多方面から情報収集」をしたとする意見で、62.1%があげた。これは特に20代で70.0%と多かった。これに続いたのが「情報はよく確認してから取り入れる」とする意見で、54.4%があげた。これについては40代で60.3%と特に多い。以下、「政府などから発表されるオフィシャルな情報だけでなく、多方面から情報を収集」(42.0%)、「GPS機能がついた携帯電話を持つ」(42.0%)と続いた。
 一方、「しておけばよかった」として上位に上げられたのが、「家族といざというときの連絡手段や行動について事前に取り決め」(36.0%)、「予備のバッテリーや電力を持つ」(32.3%)となっており、「情報はよく確認してから取り入れる」(21.9%)、「政府などから発表されるオフィシャルな情報だけでなく、多方面から情報を収集」(20.2%)、「マスメディアだけでなく、ネットなどを使って多方面から情報収集」(19.3%)なども5人に1人程度が感じたようである。

◆情報関連行動の実態と反省
 (複数回答形式)

情報関連行動の実態と反省:複数回答形式

情報関連行動の実態と反省(性別・年代・子ども別)


【考察】
 今回の震災では、「想定外」とされる地震規模に加え、前例のない原発事故が加わり、流通する情報の信頼性の担保が難しい状況にあった。しかもソーシャルメディアの普及をはじめとする、マスメディア以外からの情報発信の量が膨大だったため、いたずらに情報量が多く、その見極めが非常に難しい状況に陥った。情報が多様な状態で情報量が多いという状況は、人々に安心感をもたらさず、むしろ行動指針を見失って不安感が募るケースが多いと考えられる。居住地をどうしたらよいか、食品不安にどのように対処したらよいかという点についても、こうした不安感が人々を最もリスクをヘッジする行動に向かわせるのは必至である。
 首都圏については、直下型の地震の危険性も指摘されている。地震以外にも、豪雨や大雪など、首都圏は人口が多い分、自然災害による被害が季節や時間帯、曜日によっても大きく異なり、被害や対策の想定が極めて難しい。こうした中で、いかにして情報を整理し、無駄のない動きができるか否かを、東日本大震災から少しでも学び取っていく必要がある。
(株式会社第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部 主任研究員 宮木由貴子)

□ 調査概要(クローズド調査)
○ 調査対象… 20歳〜49歳の男女で1都3県に在住と回答した携帯電話ユーザー
○ 調査地域… 1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)
○ 調査期間… 2012年12月3日〜12月11日
○ 回答サンプル数… 1,200名


 本件についてのお問い合わせ

■株式会社第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部 主任研究員 宮木(ミヤキ)
http://group.dai-ichi-life.co.jp/cgi-bin/dlri/d_top.cgi
Tel: 03-5221-4767 Fax: 03-3212-4470

■ネットエイジア株式会社 マーケティング事業本部 山名(ヤマナ)
http://www.mobile-research.jp/
Tel: 03-3531-1411 Fax: 03-3531-1461  mobile-press@netasia.co.jp

■ ネットエイジア株式会社について
【社名】ネットエイジア株式会社
【所在地】東京都中央区新川一丁目27番8号 新川大原ビル7階
【代表者】代表取締役 三清 慎一郎
【設立年月】2005年2月
【資本金】3億1552万円
【事業内容】モバイルリサーチ事業
【URL】http://www.netasia.co.jp/


■ 株式会社 第一生命経済研究所について
【社名】株式会社 第一生命経済研究所
【所在地】東京都千代田区有楽町1丁目13番1号
【代表者】代表取締役 長谷川 公敏
【事業内容】
  • 国内外の経済・金融・文化に関する調査・研究
  • 保険・年金に関する市場動向、および生活保障(社会保障・企業内福祉)、家計動向、人口問題(少子化・高齢化)等に関する調査・研究
  • ライフデザイン(健康・教育・家族・心など)に関するさまざまな調査・研究
  • 講演会・セミナーの開催、出版物・資料の刊行その他各種情報提供サービス等
  • ライフデザインセミナー『洋洋人生のススメ』の実施
  • マネーデザイン(経済設計)、ヘルスデザイン(健康設計)、タイムデザイン(時間設計)の3つのテーマから構成され、それぞれの側面から具体的にアドバイス
  • ウェルライフセミナーの実施 健康・医療・介護に関する様々なセミナーの企画・運営
【URL】http://group.dai-ichi-life.co.jp/cgi-bin/dlri/d_top.cgi


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